コンストラクショニズム理論(Constructionism Theory)は、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)のシーモア・パパート教授によって提唱された理論です。
コンストラクショニズム(Constructionism)は、日本語では、「組み立てる、構築する」という意味があります。
簡単に説明すると
人は手を使って、ものをつくることで、脳が活性化され、新しいアイデアが思いついたり、潜在的に考えていることを顕在意識に引き出すことができる。
です。
目次
1.神経が多いところって知ってますか?
1-1.赤ちゃんがモノを触ったり、舐めたりする理由
赤ちゃんは自分の好奇心のままに、身近にあるモノを触ったり、舐めたりします。周りの大人はひやひやですが、なぜこうした行動を取るのでしょうか。
人間には五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)がありますが、五感の中で一番早く成長する感覚は、「触覚」と言われています。
新生児の時点で触覚は、成人と同じくらいに成長するものだと言われています。そのため、赤ちゃんにとっては、モノをつかんだり、舐める行為は成長するうえでの大切な情報収集になっています。
新生児にとっても、手を使うことで脳の活性化させて、想像力を高めて、知識を深めているのかもしれませんね。
私は学生時代にこの話を育児をしているお母さんに聞いて、納得しましたが一つある疑問がありました。
「触覚が大事なのはわかるけど、どうして手でモノを触ったり、唇に近づけるのだろう。足で蹴ったり、腕でモノに触れたりすることで触覚を養うことはできないのかな。」
その答えは神経の多いところだったのです。
1-2.手の神経と脳細胞の神経は70~80%直結している
LEGO®SeriousPlay®メソッドと教材活用のファシリテーションのトレーニングの際に、マスタートレーナーの方が「手の神経と脳細胞の神経は70~80%直結している」とお話ししていたのを聞きました。
トレーニングの帰り道に、「人間 神経 多いところ」というものでGoogle検索をしてみました。
この画像は人間の神経が多いところを肥大化し、少ないところを萎縮化しています。
手が一番大きなっているのがわかるでしょうか?
そして、よく見てみると、手の次に大きくなっているのは唇や舌だったのです。
赤ちゃんがどうしてモノを触ったり、舐めたりするのかというとモノを触る「手」や「唇」、モノを舐める「舌」は神経が多いところだったのです。
逆に、医者が予防接種で注射を打つ際に上腕二頭筋に打つのも神経が少ないからなんですね。
神経が多いということは、脳に直接神経が通っているために脳で考えていることを手で表すことも可能だということです。
2.手でモノをつくることで脳にも影響がある。
1で手が体の中で最も神経が多いところということを述べました。
この手を使い、「モノを使って考える」あるいは「手を動かして考える」時に、創造的なエネルギー、思考様式、モノの見方が引き出されるのは具体的にどんな状況があるのか
2-1. 右脳と左脳への影響
3. 潜在意識を顕在意識に
人間が意思決定を行う際には、何%が潜在意識の影響を受けているでしょうか?
実は、90%が潜在意識が影響を与えています。
3-1 無意識と潜在意識、顕在意識の違い
無意識と潜在意識はよく一緒にされるのですが、どんな違いがあるのかまたは共通点は何なのかをまとめてみました。
潜在意識とは、意識(自分が意図するしないに問わず)して経験した情報や知識を貯蓄しているタンクとその蛇口みたいなものです。
経験した物事は常にその人の中に「在る」けれどもそれを自分の意志で発信することができないものです。
無意識は、リラックスしていて、自分ではまったく何も考えないように意識をしても、頭の中で何かを思い描いてしまう状態のことを指します。
顕在意識は、自分自身で意識してできることを指します。
コンストラクショニズム理論では、この潜在意識は手を動かすことで顕在意識としてあらわすことができるのではないかということができます。普段使っている考え方ではなく、潜在意識を引き出す考え方とも言えますね。
4.レゴブロックとの関係性
コンストラクショニズム理論は、自分の手や指先を動かし、ブロックを積んだり、組み合わせて作品をつくるレゴブロックと相性が良いとされています。
LEGO®社からレゴブロックを活用した教材やメソッドが確立されているのでいくつか紹介します。
4-1.レゴ®シリアスプレイ®との関係性
私が普段メインで行っているレゴ®シリアスプレイ®のワークショップでは、この理論を基にして、ファシリテーションのメソッドが設計、研究されています。
企業では、社内研修・新入社員研修、経営戦略や商品開発の会議などでこの手法を用いて、自社の経営環境や経営課題の把握を行うことで、問題解決までのプロセスを構築することが可能なプログラムです。
自社の外部環境や内部環境を整備したり、社内教育などにも使うことで合意形成を伴走できるメソッドになっています。また、レゴシリアスプレイのファシリテーターの中でもLSPを活用した教育について研究しているグループもあったりします。
また、プロジェクトチームや組織のメンバー同士での、ビジョンや理念といった目に見えないようなものを、ブロックを積み上げて「見える化」するなどのチームビルディングやビジョン共有などでも用いられます。
自分が創った作品に意味を与え、自分自身でも潜在的な考えを引き出す流れの中で、自分自身にも気づきを得たり、他者の意見に納得しやすい対話を行うことができるので、共感や合意形成(コンセンサス)を取りやすくなる効果もあります。
4-2.レゴ®マインドストーム®との関係性
レゴ®マインドストーム®は、MIT(マサチューセッツ工科大学)とレゴ者が共同開発したロボットのキットです。
センサーやモーターを備えたブロックを組み込むことで、ギアや車軸、タイヤなどを組み合わせることで独自のロボットを創り、動かしたり、温度や距離などをセンター使って計測することも可能です。
現在のレゴ®マインドストーム®はEV3(EVはEvolutionの略)で2013年から販売されいます。
Wi-fi通信やBluetooth通信などの充実でリモート操作も可能で、USBメモリーやSDカードなどを挿入することも可能です。
ロボット教室などで小中学生などでも簡単に自分のロボットを創り、プログラミングでプログラムを一から学ぶきっかけにもなっています。
レゴブロックという知育玩具を使って、知識も吸収しながら、想像力も高められるマインドストームはとても活用の幅が広がりますね。
5.まとめ
一番最初に書いてありますが、コンストラクショニズム理論は簡単に言えば、
人は手を使って、ものをつくることで、脳が活性化され、新しいアイデアが思いついたり、潜在的に考えていることを顕在意識に引き出すことができる。
考え方です。
ぜひ自分の自宅にしまっているレゴブロックを取り出して、なんとなく手でブロック同士を組み合わせて、創造的な作品を作ってみてはいかかでしょうか?